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「れんけつ!」のデザイナーノート(1)

ゲームマーケット2012春にて、第1回作品「れんけつ!」を発表いたしました。お買い上げいただいた方をはじめ、興味を示していただいた方、皆さまに感謝いたします。


というわけで(?)、発表後に絶対やろうと思っていた(?)、デザイナーズノートらしきことを。



【だいたいの経緯】

「れんけつ!」は昨年の5月ごろに思いついたゲームです。自分は何年も前から友人たちと架空の4文字タイトルのお話を考えるという無駄話をすることが多かったのですが、ふとこれをゲームにしてみようと思い立ったのがはじまりでした。

その後、一気にテスト版をつくり、ファーストテストが昨年の7月頃。この時点でシステムはほぼ完成しており、何度かのテストによる調整を経て、残すはコンポーネントデザインという段になって、なぜか完成まで1年近くかかりました。単純にイラストに時間がかかってしまったというのが真相なのですが。もう少し速度感をもって制作できるといいな、というのは自分へのダメ出しの反省点です。



【ゲームシステムで表現したかったこと】

さて、『れんけつ!』で表現したかったことは「言葉を紡ぐ(あるいはでっち上げていく)楽しさ」、つまり「言葉遊び」のゲームということです。

大喜利系ならではの「面白いことを話し合ってみよう」というコミュニケーションゲームの基本軸を中心として、時には「抒情的な、情緒的な言葉」も織り交ぜることによって、「言葉によるイメージの広がりを楽しむ」というゲームにしたい。

そして、それをより効果的に具体化させる際によくいわれる逡巡の要因である「発想するのが難しいのではないか」というハードルを下げ、語るためのきっかけとなる“トリガー”をわかりやすく提示するために、いくつかの解釈を誘発しやすい、つまり、いろいろな意味を連想しやすい言葉を、一定のルール(この場合4文字にするということですが)を規定する、ということを考えました。

古来、日本人は長い単語を省略する際に4文字にまとめることが多く、この4文字というまとまりが、いいやすいリズムとなって身体に染み付いています。また、だから逆説的に4文字の言葉は単なる4文字以上の情報を連想させ、物語を構築するのです。

単純な言葉の組み合わせで多くの広がりができる。

この日本語の面白さ、日本語の持つ弾力性を、上手く引き出すこと。これがこのゲームのシステム意図でした。



【共時性、あるいはトレンド】

ドロッセルマイヤーズ商会さんの「HYKE」については、かなり近しい部分を感じました。いや、正直、けっこう焦りました。
「HYKE」は、“5,7,5”という日本語を言葉にする上で心地よいリズムとなるという快感体験をリテラシーとしてゲームシステムとしており、日本語の面白さを見事に具現化していると思いました。

かたや「れんけつ!」については、上述のとおり昨今のマンガやライトノベル等のタイトルの構造(それは長い単語を省略しニックネーム化する際等でも発揮されるリテラシーでもある)を根幹構造としています。昨今の、といってみましたが、実は4文字略称はもっと古くからある言葉の使い方であり、4文字系タイトルはその様式の流れの中で用いられた、というのが正しい位置づけなのですが、PR上では判りやすいから「最近流行りの。。」というようしたものですね。


薫風さんの「ヒットメーカー!」はTVゲームのアイディアを形にしてプレゼンテーションし優秀作を選ぶという、かなり近しいゲームでした。こちらも正直焦りました。
「ヒットメイカー」は各プレイヤーの大喜利に至るトリガーを複数枚のイラストで表現しています。

自分は言葉を誘発するためにイラストという別の言語体系(絵もまた情報を伝えるという意味で言語ですから)から、直接イメージしてください。と提示するのではなく、さらにワンクッション、あらかじめ提示した4文字を使うということで、大喜利を思いつく敷居を下げようとした点がシステム設計思想上の差異になっているなと思いました。


もちろん、どちらの作品も無類の完成度を持つ作品であり、自作と比較するのはおこがましいとは思いつつ、しかし今、この時に、近しいことを考えていた。ということは「面白いことだなぁ」と思ったのでした(でも、本当に心臓に悪いっす)




(続く)
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ゲームマーケット2012春にて、第1回作品「れんけつ!」を発表いたしました。お買い上げいただいた方をはじめ、興味を示していただいた方、皆さまに感謝いたします。というわけで(

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